船上におけるスターリンク利用の制限

スターリンクは、地上の公衆無線LANや携帯電話の電波が届かない海上でも高速インターネット環境を提供できます。ただし、船舶での利用には特定の制約があり、適切な設置と設定が必要です。

スターリンクルーターと船舶無線の電波干渉

スターリンクのWi-Fiルーターは、世代ごとに異なる無線規格に対応しています。

  • 第1世代・第2世代ルーター:Wi-Fi 5(2.4GHz、5.2GHz、5.3GHz、5.6GHz帯)
  • 第3世代ルーター:Wi-Fi 6(2.4GHz、5.2GHz、5.3GHz、5.6GHz帯)

Wi-Fi 6EやWi-Fi 7は6GHz帯(5925~7125MHz)も利用しますが、現在のスターリンクルーターは未対応です。ただし、他社製のWi-Fi 6E/7対応ルーターを使用することで、船舶環境においてより高性能なWi-Fiネットワークを構築できます。将来的にスターリンクのルーターがWi-Fi 6EやWi-Fi 7に対応する可能性もあるため、最新情報を確認することが重要です。

スターリンクルーターと船舶無線機器の周波数帯比較

船舶無線機器 周波数帯 スターリンクルーターとの干渉可能性
VHF無線 156~162MHz ✕なし(帯域が大きく異なる)
AIS(自動船舶識別装置) 161~162MHz ✕なし(帯域が大きく異なる)
GPS・GNSS 1.2GHz、1.5GHz △低(Wi-Fiの微弱な電波ノイズが影響を与える可能性あり)
インマルサット(衛星通信) 1.5~1.6GHz(Lバンド)、4~8GHz(Cバンド) △低(物理的な近接に注意)
船舶レーダー(Xバンド) 9.41~9.50GHz ✕なし(帯域が異なるが、ルーター近接設置時に微弱な影響の可能性)
船舶レーダー(Sバンド) 2.9~3.1GHz ✕なし(異なる帯域)

スターリンクアンテナと船舶通信機器の電波干渉

スターリンクのアンテナは、主にKuバンド(10.7~12.7GHz)を使用しています。船舶での使用においては、Kuバンドを主に利用することが一般的であり、他の通信機器との干渉リスクを考慮する必要があります。

スターリンクアンテナと船舶無線機器の周波数帯比較

船舶通信機器 周波数帯 スターリンクアンテナとの干渉可能性
VHF無線 156~162MHz ✕なし(帯域が大きく異なる)
AIS(自動船舶識別装置) 161~162MHz ✕なし(帯域が大きく異なる)
GPS・GNSS 1.2GHz、1.5GHz △低(アンテナの指向性による影響の可能性あり)
インマルサット(衛星通信) 1.5~1.6GHz(Lバンド)、4~8GHz(Cバンド) △低(物理的な近接に注意)
船舶レーダー(Xバンド) 9.41~9.50GHz △低~中(アンテナの距離と向きにより影響の可能性)

注意事項(Kaバンドについて)

スターリンクの衛星は、フィーダーリンク(衛星と地上局の通信)に**Kaバンド(27.5~31GHz)** を使用しています。しかし、スターリンクのユーザー端末(アンテナ)は**Kuバンド(10.7~12.7GHz)** のみを使用しており、現時点ではKaバンドでの通信には対応していません。

スターリンクの船舶設置ガイドライン

  • スターリンクルーターは、GPSや衛星通信機器から最低1~2メートル以上離して設置。
  • スターリンクアンテナは、船舶用通信機器(特にレーダーや衛星通信機器)から最低2~3メートル以上離して設置。
  • アンテナは上空が開けた位置に設置し、他のアンテナとは異なる高さに配置。
  • ルーターを屋外で使用する場合は、必ず「屋外モード」に設定。
  • Wi-Fi 6EやWi-Fi 7の普及に伴い、他社製のルーター導入を検討することで通信環境を最適化できる可能性がある。
  • アンテナ設置時には、指向方向を考慮して適切な配置を行う。

これらのガイドラインを遵守することで、船舶におけるスターリンクの安定的かつ安全な運用が可能になります。